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これはゾンビですか? レビュー

 【これはゾンビですか?一巻レビュー】

 個人的には、こういう萌え系な感じのするラノベは好きではないんだけど、それでも人気がある作品みたいだし読んでみるかーということで読了。

 物語は主人公アユムの一人称。

 文章力はあまりある方ではないと感じた。

 しかし後半のバトルシーンは、なかなか描写に力が入っている。

 でも今までの文体とガラッと変わりすぎているため、なんというか少女漫画を読んでいたら後半がグラップラー刃牙になっていたみたいな違和感を覚えた。

 新人賞の作品だったので連載用にするために物語の後半部分を弄ったからだと思うが、文章の濃さを一定にするべきではないだろうか。

 これは完全にキャラ(というかヒロイン)に萌えるための作品だなー、というのが感想。

 主人公は無味無臭が漂うやれやれ系な主人公。ゾンビ(死んだけど生き返った)という設定なんだけれど、ヒロインに生き返させられたというだけで主人公事態に個性が無くて、こいつじゃなくてもいいじゃんと思った。

 そんな主人公の元に美少女が三人やってくるのだが、一人は空から降ってきたり、一人はコンビニの途中でたまたま会ったり、一人は突然押しかけてきたりで「はぁ」という感じ。

 一応彼女たちと出合った理由は説明されているんだけど、まぁご都合主義だよなぁとしか思えなかった。

 バトルシーンは一人称なので当然主人公視点で進むのだが、特に面白くはない。後半は盛り上がるけど、前半と味が違っていて食い合わせの悪さを感じる。

 他にも突然バトルが始まったり、文章力が無いせいなのか何が起こっているのか分かりにくい。何故か後半では解消されている。

 一応ストーリーは、主人公が自分を殺した奴を探すという話であるのだが、推理らしい推理も無く、作者が「推理もの書いてみたかったけど書けませんでした!」みたいな雰囲気が漂っていて悲しい。

 ラストはちょっと超展開気味。特に盛り上がらず、別の伏線残して終わったっていったというか。

 だから完全にキャラ萌えするための作品なんでしょうね。

 でも個人的には誰もピンとこなかった。元々萌えとかいうものに魅力を感じたことがない人間だからなのかもしれませんけど。

 ハルナは我儘なクソガキにしか見えなかった。実際まだ子供なんだろうし、生い立ちというかこれまでの生き方からも屈折していったことはなんとなく読み取れるんだけど、それでも魅力が無かった。生意気なクソガキは辛い。

 ユーは勝手に主人公が萌えているだけで、自分としては「はぁ、そうですか」としか言えなかった。

 セラは主人公に暴言吐きまくりで、それでいて困ったときは頼るみたいな感じがしてなんかもう生理的に無理だと言わせてください。こういうお姉さんっぽいイラストは好きなんだけどさ。

 というわけで、どこが面白いのかよくわかりませんでした。

 文章自体はすらすら読めるので一応最後までは読めたけど、読み終わっただけで後に何も残らなかった。いや、訳分からん小説だったなぁとは思ったけど。

 こういう作品が人気出るのかー。でもその面白さが分からない自分って、最近の中高生の感性が分からないということだし、結構まずいよなーと感じさせられた。

 勉強になる一冊でした。続刊を読めば評価は変わるのかなぁ。

 評価は一応最後まで読めなくはなかったので2点で。