燃え燃えキュン

小説読み書きレビューしたりゲームの考察についてのブログ

俺、ツインテールになります 一巻 感想

 なんだかネットでの評判が良さそうだったので、中古にしては少々高かったものの購読してみた。

 うーん……ちょっと期待外れだったのは否めない。

 期待せずに読んだならもうちょい好評化だったかもしれない。

 文章は基本的に一人称であるものの、時折三人称にもなる。

 読みやすく、文章もそんなに悪くはない。

 ストーリーとしては、ある日ツインテール好きな主人公が異世界からやってきた美少女と出会う。

 その少女は、彼女の世界から現代日本へとやってきた怪物を倒すために主人公に接近してきたのだ。

 主人公は世界一のツインテール好きで、その好きという思いを糧にして戦隊モノのヒーローのように変身するアイテムを少女からもらう。

 そんな主人公の目の前で怪物に襲われるツインテールの少女たち。彼女の世界にいた怪物たちは、ツインテールや幼女、ブルマなどといった属性を糧にして生きる生物だったのだ。

 目の前で襲われている幼女を見過ごすことなどできなかった主人公は、少女からもらった変身アイテムを使って、見事ツインテールの戦士に変身した。ついでに幼女化するというおまけつきで。

 幼女化したことにショックを覚えるも、スーツの驚異的な力のおかげで見事怪物を撃退することに成功した主人公。

 しかし派手な戦闘をしてしまったせいで、主人公は正体はバレないものの世間の注目の的になってしまう。

 これからどうしようかと考えると、いろいろと問題が浮上してくる。

 異世界からやってきた美少女が怪物たちとこれからも戦いがあることを考えると主人公と同棲するべきなどといいだし、そこらへんはありがちなライトノベル展開があったり。

 しばらくの間、怪物と戦い続ける主人公。

 そんなある日、戦闘中に主人公がピンチに陥った。

 彼を助けるために主人公の幼馴染が戦うことを決意する。

 無事幼馴染は主人公を助け、怪物と戦うヒーローは二人となる。

 二人が活躍するたびに、ますます二人の世間の注目度は上がっていく。

 怪物たちは属性を糧にするために現代日本へとやってきたのに、いつまで経っても糧を得るどころかこちらの戦力が削られる一方であることに不満を覚え、遂に敵の幹部がやってくることになる。

 激突する主人公と幹部。戦いを続けるうちに、主人公の腑に落ちなかった疑問が暴かれていく。

 異世界からやってきたヒロインは、過去に怪物たちに自分の住む世界を侵略されてしまっていたのだ。

 ヒロインは世界を守るため、怪物と戦いの日々を送っていた。自らがツインテールの戦士となることで。

 しかしそれは怪物たちの罠だったのだ。

 怪物たちにとってツインテールという属性は最高の糧だ。だからこそ、ヒロインの少女をツインテールの戦士へと仕立てて彼女を世界の英雄とした。そうすることでツインテールが世界中に広まるのを見越して。

 ツインテールという最高の糧が世界中に溢れたところを一気に奪う。

 その敵の作戦に気付いてしまったヒロインは、隙を突かれて敗北してしまう。

 そうしてヒロインのいた世界からはツインテールが消え去ってしまった。

 これ以上怪物をのさばらせてはいけないと考えたヒロインは、自分の元々の変身アイテムと、自分のツインテールを愛する心を材料にして二つ目の変身アイテムを作った。

 主人公は、ヒロインがもう二度とツインテールにすることができなくても怪物たちを倒そうと決意していたことを知り、彼女の思いに応えるためにも強敵の幹部へと立ち向かう。

 そして激闘の果てに、敵の幹部を倒すことに成功する。

 ちょっと仲が悪かったヒロインと幼馴染も互いのことを理解し、少しだけ仲が深まる。

 高校生活は始まったばかり。

 その時、不意に空に新たな敵の姿が映る。

 主人公は変身アイテムに手を伸ばし――

 

 とまぁ大体こんな感じ。

 とりあえず短く感想をまとめるとすると、二時間番組を無理やり三十分番組に凝縮した感じ。

 なんかいろいろ端折りすぎてる感じがしちゃったんだよなー。

 内容は熱いんだけど、なんだか薄っぺらい。

 描写が足りないっていうのかな。説明不足、といえばそうなのかもしれない。

 個人的には、ヒロインが下品すぎてちょっと引いた。

 言動が下品なのではなくて、行動が下品。

 ヒロインが主人公に惚れる理由も一応(幼馴染が)描写してはいるんだけど、なんつーのかな。掘り下げが足りないというか、さらっと流れちゃったというか。

 幼馴染は暴力的すぎてちょっと引いた。

 コメディ部分では主人公と、というよりヒロインと幼馴染の掛け合いの方が多い。

 基本的には主人公にエロいことをしようとするヒロインに幼馴染がヒロインに折檻という名の暴力を振るうのがパターンになっている。

 あとは主人公の母親が軽すぎてちょっと違和感。まぁライトノベルにおける母親らしいといえば合っているのかもしれない(悪い意味で)。

 主人公が(というよりは作者が?)ツインテールについての愛を叫んでいるのはオリジナリティがあって良い点だなと思った。特にラストバトルの主人公と幹部とのツインテールに対しての愛をぶちまけあいつつ、相手を好敵手と認め合いつつ倒さなければならないというシーンは馬鹿馬鹿しくも感動的(?)だと言えるかもしれない。

 他には、ツッコミは「〇〇〇えええええええええ!?」とか「アホおおおおおおおおおおお!!」みたいな感じで、個人的には少々幼稚な表現が目立つと感じた。

 コメディというか、ギャグ部分のみを見ると平均的というか平均以下だと自分は思った。ギャグの評価というのは読む人によって大きく異なる気がするからはっきりとは言えないけれど。

 とにかくこの作品のセールスポイントは、ツインテールについて馬鹿馬鹿しくも熱く語るシュールな笑いを誘う部分にあると思う。近いもので挙げると、コロコロコミックで連載している漫画の燃えというのが適当か。ラブやコメディだけで見ると平均以下の作品だと思う。幼馴染が主人公を好きっていうのはなんかテンプレートすぎて、ただただふーんって感じだった。

 しかし終盤のバトルの展開にはちゃんとした『燃え』があるので、そういう展開が好きな人やツインテールが好きな人には進められるのかもしれない。遅読の自分が三時間半ほどで読めたから、さらっと読めるという点もいいところかも。さらっと読める分、描写が薄いという点が個人的には気になったけど。

 ちなみに自分は、ツインテールに特に思い入れはありません。

 四点。