視点移動は使った方がいいのか?
主人公以外の視点を取り入れるべきかどうか? という話。
視点移動がない。つまり主人公だけの視点から書くことのメリットを考えてみる。
一番のメリットは、読者が混乱しなくなるということだろう。
頻繁に視点が揺れ動いて、これは誰の話であるのか、また視点が変わった、面倒だな、といった煩わしさを与えることがなくなる。
デメリットは、物語の一面しか見えてこず、単調であるとか、退屈感を読者に与えてしまう可能性だ。
次に視点移動について考えてみる。
では、視点移動をする上でもっとも効果的な視点とは誰か?
自分は敵だと思っている。
主人公の敵の視点を加えることで、敵はこんなことを計画しているのか。主人公はどうなるんだ! といった危機感を与えることができる。
また、敵について描写することで、これから何か大きな事件が起こるのだなと読者の期待を高めるといった効果が望める。
他にも敵が主人公を意識していたりすると、読者からは、そうか主人公は敵が警戒するくらいすごい奴なんだな、と間接的に主人公の魅力を引き出すこともできたりする。
他に視点移動させる候補としては、ヒロインが挙がる。ラブコメであれば、なかなか効果的だろう。
ヒロインが主人公のことをどう思っているのかなどを描写することで、すれ違いや切なさを表現できる。
それでなくともヒロインについての描写をすることで、単純に魅力を掘り下げるといったことも期待できる。
このように視点を移動させることにはメリットが多いように見えるが、頻繁に用いると、読者に無用なストレスを与える原因になってしまう。
基本的には主人公の視点で進めつつも、掘り下げの強化として、主人公以外の人物への視点移動を駆使するのが理想的だろうと現段階では考えている。
バトルもの、シリアスなストーリーであれば敵の視点。
ラブコメをはじめとした日常ものであれば、ヒロインの視点が欲しくなってくると思う。
他にも友人や兄弟などの視点を入れることで、主人公が周囲からどう見られているかを描写し、魅力の掘り下げに繋がったりもするだろう。
しかし重要なのは、あくまで視点変更は物語に緊張感を持たせる、キャラの魅力を掘り下げるための手段の一つであり、それが全てではないということを肝に銘じておくことなのではないか。
あくまでこれは補助的なものであり、メインの手法ではないような気がする。
メインで足りない部分を補うものであり、この手法で表現しきってしまおうというのは違うように思う。
他にも叙述トリックに用いたり、様々な活用法があるが、上手に活用するのはなかなかにテクニックが要るだろう。
結論としては、視点移動はした方が物語が多面的に見えるようになり、すなわち奥深さが増すが、頻繁に使うべきではなく、また、読み進める上で混乱の元となるので、必要最小限にとどめるべきである。
といった感じだ。
ダブル主人公の構成であれば、対比として用いる方法もあるかもしれない。
視点移動はなかなかに奥が深い。よくよく考えて使わなくてはならない。