燃え燃えキュン

小説読み書きレビューしたりゲームの考察についてのブログ

コードギアス一気見してしまった

 R2の方は当時リアルタイムで観ていたんだけど一期の方は見てなかったんだよね。

 ということで心が鬱だったのでアニメを見て癒していた。

 

 いやー……面白かったわ。本当に面白かった。

 正直1話2話を見た時は、うーん? って感じだった。盛り上がりに欠けるというか。そこまで評価される作品かなぁ、と疑惑的で。

 でも3話からはもう止まらなかった。物語がガンガン加速していって、盛り上がっていって、もーほんとに止め時が無かった。

 

 当時は一期を観ずにR2の方から見てしまって、なんかイマイチだと思っていて(そりゃ一期を観てないんだから当然と言えるが)、その後にネットの評判で二期は評価がよろしくないと知ってそうなんだ~って感じだったんだけど、いやいや面白いじゃん! 二期も普通に面白いじゃん! と感じた。

 一期から続けて一気見することとか、週の間隔を開けずに視聴することなどで感想は違ってくるのかもしれないけど、とりあえずコードギアスという作品は評価に値する作品だと思った。マジで面白い。

 あの時はロロ死ねとしか思わなかったんだけど、今見ると「そうか……お前も心のよりどころが欲しかったんやな……分かる……分かるで……」と感じたりして、変な話だが自分に対して感慨深いというか興味深かった。

 

 何が面白いかっていうと、まず創作的な面白さの技法をこれでもかと詰め込んでいるんだよね。

 それは後述するとして、まず最初にこの作品で斬新だったのは『エースパイロットが敵』という点だよね。

 普通のロボットもの作品じゃ、主人公がエースパイロットで圧倒的に不利な戦況を覆す! というところにカタルシスというか面白さがあると思うんだけど、この作品ではそれを敵がやってくるんだよ。

 既存の作品と構図が全く逆だよね。正直自分はロボットアニメに詳しくないから実はそんな斬新ではないのかもしれないけど。

 敵の策略に対して主人公という圧倒的な個が活路を見出す、という展開を敵がやってくるんだよ。いやー参ったわ。まぁ後からこっちからも味方のエースが出てくるわけだけど、それをまず最初に敵がやってくるってのが新しさを感じた。それが3話だったかな? で一気にこの作品にハートを掴まれた。

 

 この作品ってマジで贅沢なんだよ。欲張りと言うか。

 ロボットものという人の死を扱った作品でありながら、それとはミスマッチであろう学園ものという、まぁ人気のカテゴリにまで手を出しているんだよね。しかもその学園ものの内容が非常に高レベルで、シリアスな世界に対して素晴らしいアクセントになっている。それが主人公の救いとなっていたわけではないのが残念というかルルーシュという主人公の淋しいところではあるけど、それも止む無しというか。

 そんで主人公が悪で、ライバルが正義に属している。ダブル主人公という変則的な構成だったら普通に正義を当て嵌めておいた方が色々と楽に思えるが、この作品はそうではない。

 主人公は悪の存在のせいで、周囲はおろか味方にも正体を隠さなければならない。これは所謂スパイダーマン的な、ヒーローなのに姿を欺かなければならないという要素を踏襲している。

 んでライバルとは敵対しているものの、エンディングに向けて今まで憎しみ合うほどまでに敵視していた主人公とライバルは手を取り合うっていう。ダークでシリアスな物語でありながら、しっかりと燃える王道展開まで詰め込んできている。

 更に表向きには政治的な、独立を求める戦争モノであるのに、ギアスという超常的な要素に対しての戦いも描いている。

 あとはまぁデスノートのように、現状に憂いている主人公が力を手に入れて世界を動かしていく王道の導入部だったりとか、変化球に見えてストレートも織り交ぜてるなというか。

 

 練り込まれているテーマにしても多くのものを内包している。

 兄弟愛であり、命とは何かであり、自由とは何かであり、正義とは何かであり、正しい道とは何かであり、善悪とは何かであり、とても一言では言い表せない作品だった。

 

 冷静に見てみると「ジェバンニが一晩でやってくれました」じゃないんだから、というようなちょっと凄すぎる展開もあったりするんだけど、『面白けりゃいいんだよ』の一言が全ての免罪符となってしまっている。卑怯だ。

 あとキャラクターが多数登場するため掘り下げ低くない? と感じるところはあったものの、これだけのキャラ全てを掘り下げるとか正直無理だと思うし、このテンポ感だからこそ面白いと感じられるんだろうなと思ったりもするので、これはこれで良いのだろう。

 あと玉木とか最初は普通に嫌いだったんだけど、ゼロに惚れてからは意外とこいつ可愛いじゃん、と感じられてしまったので、まだまだ自分も甘いなと思ったりした。むしろ掘り下げがほぼ無いところとか見せ場が一切無かったことに憤りすら覚えるレベルになってしまった。

 シンクーとか吐血描写あった割には特に活かされてなかったのだけはちょっと残念だったかな。絶対途中で死ぬわコイツって思ったけど、特にそんなことは無かった。というかスクライドを見てると劉鳳にしか見えなくて辛かった。

 

 個人的に一番思い入れのあるキャラは正直シャーリーのママである。

 だって有り得ないだろ? 旦那(良き父親)がテロで死んで、一年後には娘(美少女でめっちゃいい子)まで死んじゃうんだぜ? 有り得ないだろ?(二回目) 悲しみに明け暮れるってレベルじゃねーぞ! 一番感情移入するも止む無し。個人的に二次創作でシャーリーママが幸せになるお話を執筆するレベル。

 好きなのはロイド伯爵。いやースクライドに続き白鳥哲にはお世話になりましたって感じ。もーほんと好き。どっから出してんだあの声。

 他にも咲世子とか好きなんだけどね。有能な脇役が好きなんや……。他にもいるけどキリが無いので止めておく。

 

 一期は正直スザクの行動が鼻に付く感じがして、そこだけは残念だった。いやお前正義でも何でもないやんそれただの利己主義やん、みたいな。

 言ってることは立派でも、それって本当に立派? って感じで、主人公が悪な分、ライバルにはきちんとした王道の正義の道を行って欲しかった。

 しかしスザクというキャラクターの設定上、この矛盾は仕方ないよなーと思うのも事実。

 主人公がブリタニア出身であるのに日本人と共にブリタニアを討つという構図に対し、ライバルが日本人であるのにブリタニアに忠義を尽くすというのは対比としては実に素晴らしいものではあるんだけど、父親殺しという背景があるせいでスザクの正しさが非常に薄れてしまっているんだよね。少なくとも感情移入できるものではなかったように思う。

 何というのか、主人公ルルーシュには「皇帝を倒す」っていう明確で分かりやすい理由があったのに、スザクには「内部からブリタニアを変える」っていう、まぁやりたいことは分かるけどそれって実際どうするの? って部分が見えにくかったのが良くなかったのではないかって感じ。ちょっと視聴者頼りというか。まぁ尺的な問題だったのかな。惜しいよなぁ。

 

 二期においては、序盤でのロロ関連があまりにも苦しかったのは否めない。ロロという存在が上手く機能できるのなら別にいても良かったけど、流石にここまでご都合感があると別にいない方が良かったんじゃないかなと思ってしまう。最後まで見ればロロ自体には(個人的には)いてよかったというか好感は持てたんだけど、過程が良くなかったなとは強く思う。

 あとシャーリーだけど、ほんとあれ死ぬ必要あったのかな。そこだけが疑問。主人公に幸せが訪れない分、他の主要キャラは幸せになってほしかった……。

 12話の素晴らしくハイレベルな息抜き回の後にあの13話をやるってのはね……ちょっと正気を疑う構成だった。

 

 他にもスザクの身体能力がチートすぎるとかカレンがお嬢様なのにテロリストでKMFの操縦技術が軍人を超えるレベルで卓越してるのはヤバくない? どうなってんの? とか、ちょっと主人公に都合良すぎる展開とか、扇とかヴィレッタ関係があっさりし過ぎだとか中華連邦や京都が引っ張った割には出番というか意味が薄く感じられたりとかV.V.があっさり退場し過ぎだったり、皇帝との戦いがラストバトルかと思いきや前座だったりとか、まぁ色々あるよね。

 普通に考えれば皇帝との戦いはラストだと思うんだけど、これはまぁ構成に難があったというよりはコードギアスという作品の設定の根本の部分の問題だからどうしようもなかったのかなーとは思う。

 こんだけ内容を盛り込んだ作品だったのにこういう展開になったっていうのは、やはり作品にはその作品独自の展開にならざるを得ない部分があり、皇帝との戦いが先になったのはまさにその部分だったのかなって。何言ってるのか分からないと思うけど、うん、そういうこと。

 アーニャについても全然人物像が分かってこなかったり、そもそもナイトオブラウンズという中二感溢れる存在があったのに正直活かしきれていなかったり、あーもー色々と掘り下げが足りないというか惜しい! 尺とか時間とかの制限から解き放たれたコードギアス完全版が見たい! あああああああああああああああああああああ

 

 ともかく! 私に多大な影響をもたらした作品となったことは間違いないので、参考資料として大切にしていきたいタイトルである。

 創作における面白い展開を詰め込んでいるというのはほんと参考にしたい。スクライドを見た時にも思ったけどさ。面白い要素の詰め込みという点の極致にキルラキルが存在していると思うんだけど、まぁあんくらいやっても許されるんだなって再々再認識した感じ。

 というか見終わったばかりなのに今すぐ二周目を視聴したくて仕方がない。仕事したくない。てか初視聴の時点で何度も巻き戻して理解できるまで見直したりしてたんで、多分二回目を見ればまた見方が変わるんだろうなぁとワクワクしている。

 でも何度見ても愚直なだけの一期のスザクは好きになれないだろうなぁとは思ったり。うーーーーーーーーーーーーむ。実に興味深い作品だった。

 

 今は最後まで見終わってしまったことがただただ悲しい。寂しい。願わくばルルーシュにも幸せが訪れて欲しかった……。

 あっ、皇帝がルルーシュ殺さないで記憶改竄するだけに留めるとか舐めプかよって思っててすみませんでした。でもああいう展開するならちょっとくらい伏線あった方が良かったんじゃないかなって。

 

 思ったんだけど、面白い要素を詰め込むには、面白い要素を詰め込めるだけの設定をまず用意しないといけないのであって、面白い要素がある作品ってのはそれだけで評価されるべきなんだなぁってのを強く感じました。

 つまらない作品を面白くするために面白い要素を詰めるんじゃなくて、つまらない作品にはそもそも面白い要素をぶち込むことはできないのだということを知ったというか。

 

 面白い要素を受け入れられる器を作れる人間になりたいなと強く思った。頑張ろう。