フルメタルパニック あらすじとレビュー
読んだライトノベルのレビューを書いていく企画の初回。ついでにあらすじも。
というわけで、まずはフルメタのレビューをしたいと思います。
確か自分が初めて読んだライトノベルだったはず。
昼休み暇なんで図書室に入り浸っていたら、その時たまたま見つけたのがきっかけ。
思い出補正もあるのかもしれないけれど、それでも今まで自分が読んできたライトノベルの中で一番面白い作品だと思う。マジで。
フルメタは全巻読んだ作品だけど、他の作品は一巻しか読んでいないものが多いので、フルメタも「戦うボーイミーツガール」のみのレビューにしようかと思います。
文章は三人称。かなめ(ヒロイン)視点たまに神視点?
軍事用語が出てくるものの、だからといって敷居が高いということはなく、全く知識が無くても楽しめるロボットSF。
主人公の相良宗介は寡黙な少年兵という人間。今考えると、無個性軟弱やれやれ系が主流(?)なラノベの主人公の中では異彩を放っていると思う。
戦争ボケしているため、校内にも関わらず銃器ぶっ放したり地雷を埋めたりしてしまうキャラ。
それを真面目にやっているものだから面白い。
ヒロインは千鳥かなめという勝気な少女。初期では普乳だったはずなのに、一体いつから巨乳化したのか謎。
特殊部隊に所属する宗介は悪の組織に狙われるヒロインを守るために、かなめのいる高校へと編入してくる。
しかし紛争地帯で育ったために平和な日本になじめず、やることなすことが空回りしてしまう。
そんな宗介をかなめは怒りつつも、どこか気になってしまう様子。
最初は気味悪がっていたかなめだったが、宗介を見ているうちに悪い奴ではないのかも、と彼に対する認識を改める。
しかし不慮の事故で、宗介はかなめの家のベランダで発見されて下着泥棒と間違われ、再び彼女の彼に対する評価はガタ落ち。
そういった関係の中、彼らの高校の修学旅行となる。
しかし移動中の飛行機の中で、テロリストにエアジャックされてしまう。
かなめと離れ離れになってしまう宗介。
そこでようやく宗介の本領を発揮。
不利な状況ながらも敵を排除していき、なんとかかなめを救助する。
だが敵の増援でまたピンチに。
そこで宗介はASという巨大ロボット兵器に乗り込み、圧倒的な実力で敵を排除する。
が、敵の凄腕パイロットが現れ、宗介が本来が搭乗している機体ではなく敵機を奪ったASだったこともあり、機体が破壊されてしまう。
しかし味方が到着し、宗介とかなめは何とかその場から逃げ切る。
あとは学校のみんなと一緒に救助に来たヘリで逃げるだけ……なのだが、敵の増援が来てしまい逃げるチャンスを逃してしまう。
宗介は機体を破壊された時のダメージで重傷だ。逃げる途中で会うことが出来た仲間のクルツも、ケガで満足に動けない。
何故自分が狙われるのか、何故自分が宗介に守られているかも分からないかなめだったが、彼が本気で自分を助けてくれようとしているのを見て、今まで得体のしれなかった宗介のことを信じることを決める。
途中まで逃げてきたかなめたちだったが、宗介とクルツはケガで満足に動けないため、自分たちが囮になるからかなめは逃げろと説得する。
しかしかなめは首を縦に振らない。宗介たちを見捨てることはできないという。
なんとかみんなが逃げられる案は無いかと思案するが、かなめの一言でわずかな光明が見えてくる。
それに賭けて作戦を決行するが、結局は成功には至らず的に追い詰められてしまう。
絶体絶命かと思われたその時、仲間からの援軍が届く。
それは特殊な兵装を持った敵に勝てる可能性がある、最新のASだった。
宗介は乗り込み、あっけなく敵を追い払ってしまう。
が、そこに宗介とクルツの機体を破壊した凄腕の敵AS乗りが再び現れる。
ラムダドライバという不可思議な兵装を使いこなしてくる敵だったが、今宗介が乗っている機体にもその機能が備わっているという。
劣勢な宗介だったが、かなめの助言を受けてギリギリ敵を撃破。そして脱出。
その時にかなめは気を失ってしまった。
彼女が目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。
ベッドの隣には宗介の同僚が椅子に腰かけていて、部下である宗介とクルツを助けてくれた礼と、宗介はもう別の任務に行ってしまったことをかなめに告げ、姿を消した。
宗介のかなめを守るという任務は、もう終わったのだ。
別れの言葉もなく宗介は自分の前から消えてしまい、何故かかなめの目から涙が溢れそうになる。
暫くすると、学校のみんなが見舞いに来てくれた。そこには何故か、宗介の姿が。
「やい、ソースケっ! あんたにはいろいろ文句が言いたかったのよっ! よっくもあの時――」
……と言う感じのボーイミーツガール作品。
地の文は非常に簡潔でシンプルな文体。
誰でも書けそうで、実際にはこういう分かりやすい明瞭な文章を書くのは難しいと思われる。
地の文が淡々としている分、キャラの会話は(特にかなめ)は激しくて面白い。
クルツやかなめ、マオといった人物たちからからかわれる(でもからかわれていることに気付いていない)宗介がいいキャラしている。そしてカッコいい。
クルツもアホっぽいところが好感持てる。人間臭さが出ていて面白い。
かなめは暴力的で多少気になるところもあるが、それを上回る彼女の魅力のおかげでちゃんとヒロインしている。
しっかり者なのに意外とだらしなく、少しオッサン臭いところが彼女のいいところ。
「フルメタ」は王道といえば王道なんだけれど、人物の描写がしっかりしているおかげで魅力的なエンターテインメントになっている。
戦闘シーンはすごい! って絶賛する感じのものではないんだけど、リアリティがあって、映像がイメージできて充分楽しい。
とにかく完成された作品なので、ぜひいろんな人に読んでもらいたいですね。
SFとかロボットとか興味ねーよ、という方も短編集の方は存分に楽しめると思います。
宗介の戦争ボケっぷりと、かなめのツッコミが冴えわたりまくっていて、笑えること間違いなしではないでしょうか。
個人的には短編の二巻「本気になれない二死満塁?」に収録されている「やりすぎのウォークライ」が死ぬほオススメです。あれはマジで抱腹絶倒。
長編なら八巻の「燃えるワン・マン・フォース」が好きすぎます。
綺麗に完結しているので、読み応えのある王道SFファンタジーを読みたい方は読んでください。
ただ昨今流行り(?)の萌え要素といったものはないので、そういったものは期待しない方がいいと思います。
だからといって、魅力的な女性キャラが出ないわけではないです。萌えとは違ったベクトルというだけで。
10点満点で評価するなら、文句なしの10点。
レビューとか初めてだったんだけど、こんな感じでいいのだろうか。